【武と音】#6 和楽器の教育への価値と挑戦


先日、三尺琴を手に入れ、調律している最中、子供たちが集まり、譜面を見ながら簡単に演奏する姿に驚きました。

「どうしてそんなに早く上手に演奏できるの?」と尋ねると、彼らは学校で琴の授業を受けていると答えました。私が学生の頃は、和楽器の演奏を聴く授業はあったけれども、自分で演奏する機会はなかったので、おそらく地域によって異なるのでしょう。

そこでふと思うことがあり、今回はそれを題材にして投稿して行こうと思います。

義務教育等で取り入れられている和楽器は、何が一番多いのか?

調査によると、日本の義務教育で上位3つは次の通りです。

1位 三味線
2位 太鼓
3位 尺八
※琴は4位になります。

これらの楽器は、比較的演奏が容易な部類に入るでしょう。ただし、深く掘り下げてみると、どの楽器も奥深く難しいものです。

和楽器を授業に取り入れる目的やメリットとは何か

何故、義務教育等の音楽授業で和楽器を取り入れるのかを考えた時、日本の伝統文化や音楽を実際に演奏することで、文化や伝統、芸術に触れ、理解を深めることができるという事に気付くことが出来ます
これにより、国の文化的遺産を保護し、次世代に継承することができるかもしれません。



太鼓を例にあげますと、リズム感や協調性を養え、チームワークの向上や重要性を学ぶことが出来ます。
尺八だと、表現力や感性やを養うことにとても良い手段です。楽器を通して自己表現の大切さを理解できるのではないでしょうか。

薩摩琵琶を授業に取り入れる事は難しい?

薩摩琵琶を義務教育に取り入れることは、いくつかの課題や制約を具体的に上げてみますと、まず教材(楽器本体)や指導者の不足があります。
そもそも総桑の琵琶で数百万円、撥でも三十万円と高額です。


私が琵琶のはじめた頃、かれこれ10年前では新規で琵琶を造る際、腹板の木目が揃っているものが多かったのですが、今新しく琵琶を作ろうとすると揃った木目にならないことがあります。
腹板の木目が揃っていない事で、音による変化はありませんし、実際演奏しているとそこまで目立たないと思います。
しかし、この10年で資材不足が顕著に表れており、新しく総桑の琵琶を造ることがますます難しくなってきています。



その次に演奏の難易度の高さです。
薩摩琵琶は技巧的な演奏技術が求められる楽器であり、初心者にとっては演奏が難しい場合があります。ですので、義務教育の中で十分な時間が確保されない限り、一通り演奏するのは難しいでしょう。押弦にはある程度の力も必要ですが、テコの原理を要いれば問題はありませんが、鶴首(ギターでいうネック)が太く作られている琵琶だと、手が小さいと苦労されたりします。



演奏面や高価な楽器問題だけでも現実的な課題が多く、薩摩琵琶を義務教育等の従業に取り入れることが難しいことがわかります。ただ、地域や学校によっては、薩摩琵琶を特別活動や選択科目として取り入れることは可能かもしれません。

和楽器教育の課題と挑戦

和楽器の教育への価値は大きい一方で、和楽器教育の課題に挑む中、適切な指導者や施設の整備、さらなる支援の必要性が浮き彫りになります。

これらの取り組みが実現すれば、和楽器を通じて豊かな音楽体験と文化理解を得ることができるのではないでしょうか。


未来の世代に伝統文化を引き継ぎ、新たな音楽の扉を開くために、和楽器教育に対する取り組みはますます重要になっています。

国摩 磨比斗(くになずのまひと)

\磨姫子(楽姫)をフォローする/
タイトルとURLをコピーしました